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ESJ56 一般講演(ポスター発表) PC1-409

東海地方沿岸部におけるハゼ科ウキゴリ属魚類4種の生息環境 −底質粒径との関わり−

*鈴木陽介(東海大院・人間環境),荒尾一樹(環境科学研究所),北野忠,内田晴久(東海大・教養)


干潟域は海域の中において極めて小さな面積に過ぎないが、生息の場を干潟域に依存する多くの種によって複雑な生態系が形成されている。しかし、干潟に生息する生物の生物的・非生物的な環境との関わりについての知見は十分とは言い難い。そこで干潟に依存するハゼ科魚類であるウキゴリ属4種の生態学的な基礎知見を得ることを目的として、底質粒径を中心とした各種の生息環境を調べた。

静岡、愛知、三重県の河口干潟16点において、ウキゴリ属4種(エドハゼGymnogobius macrognathos、クボハゼG. scrobiculatus、チクゼンハゼG. uchidai、キセルハゼG. cylindricus)の生息状況、アナジャコ類・スナモグリ類などの甲殻類の生息孔数を調べた。同時に調査地の土壌を持ち帰り、底質粒径、強熱減量を調べた。

その結果、エドハゼが10地点、クボハゼが2地点、チクゼンハゼが2地点、キセルハゼが1地点で確認された。各種が確認された地点では甲殻類の生息孔が48個/m2みられた。また、これらの地点の強熱減量は1.2~5.5%と低かった。

底質粒径の割合をみると、エドハゼが確認された地点はシルトが2~25%、細砂・中砂が50%以上であった。チクゼンハゼ 、キセルハゼはエドハゼと同じ地点で採集されたが、 チクゼンハゼの生息地の底質は中でも中砂・粗砂が50%以上と多く、キセルハゼの生息地の底質は中でもシルト・細砂が50%以上と多かった。クボハゼの生息地の底質はシルト・細砂が30%以下であった。一方、シルトが50%以上であったり、細礫が約40%の底質、甲殻類の生息孔がみられない環境では対象種は確認されなかった。調査地点は少なく、データが十分とは言い難いが、これらより、各種の生息状況は底質粒径および甲殻類の生息孔数との関連性が示唆された。


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