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ESJ56 一般講演(ポスター発表) PC2-751

カノコガ亜科(Syntominae)の配偶行動における視覚情報

近藤勇介(岐阜大・応生),中秀司(鳥取大・農),安藤哲(農工大・BASE),土田浩治(岐阜大・応生)


カノコガ亜科に属するカノコガ(Amata fortunei)とキハダカノコ(A. germana)は同所的に生息している。この2種は昼行性の蛾類である。カノコガは、早朝(0500-0900)に配偶行動を行うことが観察されている。一方、キハダカノコは夕方(1500-1800)に配偶行動を行っていることが観察されている。雌は腹端から性フェロモンを放出し、雄を誘引する。カノコガは腹部第一節と第五節に黄色い縞があり、キハダカノコは腹部第一節から第七節のすべてに黄色い縞がある。このように同所的に生息している2種間の体色は大きく異なっており、また、本種は昼行性であるため、雄による雌の探索には、性フェロモン以外に視覚的な情報(雌の体色など)による配偶者認識が発達していると考えられる。

これまでの研究で、カノコガの雄は雌標本の黄色い縞を加筆あるいは消去したものに対して、到達時間が長くなり、到達率も減少する傾向が見られた。この結果から、カノコガの雄は長距離では性フェロモンを利用し、至近距離(少なくとも15 cm以内)では嗅覚と視覚の両方を利用して雌に定位することが示唆された。

そこで、今回はカノコガの雄が黄色い縞の本数と面積のどちらを配偶者認識に用いているのかを検証するために黄色い縞の”面積を一定にし、本数を増減させた模型”と”本数を一定にして面積を増減させた模型”を用いて風洞内において行動観察を行った。このとき誘引源としてカノコガ雌の腹部末端節のヘキサン抽出物を用いた。また、本種の雄が視覚情報として色相を利用しているのかを検証するため、模型を白黒で塗装し、風洞内で雄の模型に対する反応を観察することで、本種の配偶行動における視覚による配偶者認識メカニズムの詳細を考察する。


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