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ESJ56 一般講演(ポスター発表) PC2-762

卵寄生リスクの記憶と産卵場所選択

*平山寛之, 粕谷英一(九大・理・生態)


親が子の世話を行わない動物では産卵場所が卵の生存・成長に大きく影響する。そのため、親は卵の生存・成長に適した場所を産卵場所として選択することが繁殖成功を高める上で重要である。これまでに様々、生物的・非生物的要因が産卵場所の選択に影響することが示されてきた。

中でも産卵場所の捕食者の存在やその痕跡(chemical cueなど)の影響は大きく、そのような場所での産卵は行われないのが一般的である。しかし、これまで捕食者の存在(あるいは痕跡)が産卵場所の選択に影響することを示した研究は数多くあるが、その産卵場所以前に経験した捕食リスク、つまり記憶された捕食リスクが産卵場所の選択に影響するかは明らかではない。

この問題をアメンボとその捕食寄生者である卵寄生蜂アメンボタマゴクロバチを用いて検証した。アメンボは野外では主に潜水し、水中の水草などの深い位置に産卵する。潜水せずに水面付近に産卵することも可能だが、深い位置に産まれた卵ほど卵寄生蜂による寄生(捕食寄生)を受けにくい。アメンボの主な産卵場所は水面下であるが、アメンボと卵寄生蜂は主に水面上で遭遇すると考えられる。そのため、アメンボは産卵深度を水面上で経験した卵寄生リスクに応じて変化させる可能性が高い。

アメンボが卵寄生リスクを記憶し、産卵場所選択に使用しているのであれば、卵寄生蜂を経験することで卵を深い位置に産みつけるようになると予測される。この予測を、卵寄生蜂を経験させたグループと全く経験させなかったグループの産卵深度を比較し、検証する。


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