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ESJ56 一般講演(ポスター発表) PC2-805

ALOS衛星画像を用いた霧ヶ峰高原の草本バイオマス量の推定

*小澤奈々,渡邊修,大窪久美子(信大・農)


本研究では、霧ケ峰高原における半自然草原の野草資源の有効活用を検討するため、草原のバイオマス量を推定することを目的とした。

地上部の刈り取り調査は強清水と車山、沢渡の3箇所において2008年9月に行われた。50cm×50cmのコドラートを計30プロット設置し、刈り取った後、種別に分けて回収し、出現種等を記録した。研究室にて種毎に生重を測定し、その後乾重を測定した。調査地点は携帯型GPSにて測位、記録された。次に陸域観測衛星ALOSによる衛星画像を衛星画像処理ソフトで幾何補正し、正規化植生指数NDVIを算出した。また、本調査地域の植生タイプと各分布範囲、面積については、尾関ら(2006)の植生図を引用し用いた。乾物重の実測値とNDVI値から、一次回帰モデル式を計算し、バイオマス量の推定を行った。

今回調査を行った半自然草原の優占種はススキおよびオオアブラススキ、ヨツバヒヨドリ等で、乾燥重の平均値と標準偏差は0.633±0.227kg/m 2であった。乾重およびNDVIの値より、一次回帰モデル式:DW(kg/m2)=−0.155638+1.5676274*NDVIを得た。本式を用いて地上部乾重の推定マップを作成した。これらのデータと算出した本地域おける半自然草原の面積(5.571km2)を用いた結果、地域全体の草原の推定バイオマス量は3625.01tで、これは単位面積当たりに換算すると6.51t/haであった。我が国におけるススキ型草原の地上部現存量は3.8〜15.8t/haの幅がある(岩城、1973)ことが知られており、本結果もこの範囲にあったが、地域の気象条件やススキの分布限界にあたること等を考えた場合、過大評価である可能性もあり、今後はさらなる方法の検討を行う必要が指摘された。


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