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ESJ56 一般講演(ポスター発表) PC2-814

適応に関連したQTLに基づく野生サクラソウ集団の遺伝的多様性評価

*吉田康子(筑波大・生命環境),上野真義(森林総研),北本尚子,小玉昌孝(筑波大・生命環境),本城正憲(東北農研),田口由利子(森林総研),永井美穂子,鷲谷いづみ(東大・農学生命),津村義彦(森林総研),大澤良(筑波大・生命環境)


現存する野生サクラソウ(Primula sieboldii, 2n=24)の保全策を講じるためには、適応に関連した形質の遺伝的多様性を考慮する必要がある。これまでに同一環境栽培により野生5集団の量的形質における遺伝的多様性を評価し、出芽日が適応分化していることを明らかにした。しかし、これら5集団以外の野生集団については、自生地からの採取が難しいため同一環境栽培による評価は難しい。そこで、出芽日に関連する遺伝子座の対立遺伝子を用いた野生集団の多様性評価の可能性を検証した。

始めに北海道と長野地域由来の個体を利用した四系交配家系F2192個体を用いて、SSR、EST-SSR、SNPマーカー153座で連鎖地図を作成した。次に2008年に筑波大学で交配家系を栽培し、QTL解析で出芽日に強く関連する遺伝子座を検出した後、各座の対立遺伝子を用いて、これまで3年間に渡り出芽日を評価してきた北海道(25個体)、埼玉(16個体)、長野(26個体)の野生集団の多様性評価を試みた。

その結果、14連鎖群、全長約811.2cMの連鎖地図が作成された。Kruskal-Wallis検定により1%の有意水準で検出された4遺伝子座のうち野生集団で増幅した2座について解析したところ、ある遺伝子座では集団間変異がなく、出芽日との関係が認められなかった。もう一方遺伝子座では、集団間で対立遺伝子頻度は異なるものの、それにより出芽日の集団間の違いを説明することはできなかった。理由としては、遺伝子座とQTLとが強く連鎖しておらず、これらの間に組み換えが生じたこと、あるいはその寄与率が低かったことが考えられる。


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