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ESJ56 一般講演(ポスター発表) PC2-824

神奈川県北西部から山梨県へのアライグマの生息域拡大について

*關 義和(東京農工大・院・連合農学),六波羅聡(信州ツキノワグマ研究会),河内紀浩(島嶼生物研究所),小金澤正昭(宇都宮大・演習林)


外来種であるアライグマの生息域は全国的に拡大しつつある。神奈川県でも急激な分布拡大が確認されている。一方、山梨県での生息はほとんど知られていない。しかし、過去の神奈川県における分布調査では、山梨県と隣接する町でも生息が確認されているため、山梨県東部に侵入している可能性は十分に考えられた。外来種対策において、分布最前線における生息状況を把握することは保全管理を進める上で重要である。本研究では、神奈川県北西部と山梨県東部において本種の生息と分布拡大の状況を調査した。

調査は、2004〜2006年に地元住民への聞き取りと自動撮影カメラにより行なった。

聞き取り調査では、延べ553件を収集しその内の21件で本種の情報が得られた(神奈川:16件/282件、山梨:5件/271件)。得られた情報の年代は、神奈川県では1997〜2005年、山梨県では2001〜2005年であり、山梨県側への分布拡大が認められた。カメラの合計稼働日数は延べ1,704台・日で、本種の合計撮影枚数は24枚であった。その内、神奈川県では23枚、山梨県では1枚で、撮影率(枚数/台・日)は神奈川県で高かった。また、神奈川県と山梨県での本種の分布域は連続していた。

これらの結果から、神奈川県の個体群が山梨県に分布を拡大していると結論した。今後の対策として、1)これ以上の分布拡大を阻止するために、神奈川県では県北西部の個体群を最優先に排除すること、2)本種は河川沿いに分布を拡大することが指摘されているため、山梨県と神奈川県をつなぐ相模川と道志川を中心に徹底した捕獲圧をかけること、3)県境をまたいで本種が連続的に生息する状況が判明したため、隣接する都県が連携して管理計画を策定することが必要である。


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