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ESJ56 一般講演(ポスター発表) PC2-834

サロベツ湿原泥炭採掘跡地の植生回復過程

*島村崇志, 宮木雅美,西川洋子(道環境研)


北海道のサロベツ湿原において、泥炭採掘後の植生の回復過程を把握するため、1991年、1982年、1970年に採掘された跡地に設定した調査区について、1997年から2007年まで2年毎に植被率と出現植物種の被度を記録した。

植生の回復は、非採掘地からの分布拡大によってもたらされていると考えられ、非採掘地に近い調査区の植被率が高い傾向にあった。また、回復過程においては、初めに定着し優占種となった種はカヤツリグサ科のミカヅキグサであった。時間の経過とともに、ミカヅキグサは減少に転じ、優占種がミズゴケ類、イネ科のヌマガヤ、カヤツリグサ科のトマリスゲに変化した。さらに時間が経過した場所では、ミズゴケ類が高い被度で安定し、ミズゴケ湿原要素の植物種が多く確認された。しかし、一度増加したミズゴケ類が再び減少した調査区が一部にみられたほか、採掘地中心部では裸地状態の続いている調査区がみられることから、潜在植生への回復にはさらなる年月が必要であると考えられる。採掘後60年以上放置され、良好なミズゴケ湿原植生が回復している上サロベツの泥炭採掘跡地とも比較しながら、泥炭採掘跡地の植生回復過程について考察する。


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