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ESJ56 一般講演(ポスター発表) PC2-845

カワラノギクのロゼット個体密度と開花個体密度

*倉本宣,寺村彬(明治大学農学部)


絶滅危惧植物カワラノギクは可変性2年草であり、生活史段階はロゼット個体と開花個体という2つの段階から成る。カワラノギクの開花期について考えれば、ロゼット個体は将来の開花個体であり、開花個体は過去のロゼット個体である。立地の生産力との関係を考えると、生産力が高いとロゼット個体は速く成長して開花個体となり、生産力が低いとロゼット個体はゆっくり成長してなかなか開花個体に成らないことになる。

そこで、現在カワラノギクの生育が確認されている多摩川、相模川、鬼怒川の3河川敷で、ロゼット個体密度/開花個体密度を測定した。調査は半径2mの円の中の個体数を計数して行った。カワラノギクの純粋に野生の個体群はなくなりつつあるので、多摩川は河川生態学術研究会で再生した福生市永田地区のA、B、C工区、相模川は相模原市神沢、鬼怒川はさくら市氏家大橋のいずれも植栽を起源とする個体群で調査した。

ロゼット個体密度/開花個体密度は、多摩川では1.5±0.9、相模川では1.1±1.0、鬼怒川では1.5±0.5であった。ロゼット個体密度の最大値は13.3個体/平方メートル、開花個体密度の最大値は6.3個体/平方メートルであった。

多摩川で、やや詳細にデータを取ってみたところ、造成後時間が経って草原化しているA工区では、ロゼット個体密度/開花個体密度はカワラノギクの多い内陸部で1.1±0.9個体/平方メートル、カワラノギクの少ない内陸で0.9±1.4個体/平方メートル、カワラノギクの多い水際で2.1±0.5個体/平方メートル、出水によってできたC工区の内陸部の裸地では、1.5±0.6個体/平方メートル、カワラノギクの少ない水際の裸地では2.0±1.0個体/平方メートルであった。

今後、ロゼット個体のサイズを測定し、ロゼット個体密度/開花個体密度が立地の生産力の指標として使用できないかを検討する予定である。


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