ESJ56 一般講演(ポスター発表) PC2-860
玉田克巳(道環境研)
国内では北海道だけで繁殖するシマアオジは、近年減少が著しい夏鳥である。しかし、いつごろから減ったのかを示す根拠は乏しい。そこで、北海道内で行われている各地の探鳥会情報を用いて、各地でいつごろから観察されなくなったのかを調べた。北海道野鳥愛護会が札幌市東米里で行っている探鳥会では1992年までシマアオジが観察されているが、1993年以降は観察されていない。同じく札幌市福移では1998年、苫小牧市植苗では2002年の観察が最後である。日本野鳥の会札幌支部が行っているモエレ沼の探鳥会では1992年の記録が最後である。日本野鳥の会オホーツク支部支部が行っているワッカ原生花園の探鳥会では1996年に確認されているが、1998年には確認されていない。1997年には探鳥会ではないがラインセンサスによってシマアオジが観察されているため、観察記録としては1997年が最後であるが、1999年以降探鳥会が行われていない。1973年から2002年までに道内各地で行われた3,003回の探鳥会の記録をみるとシマアオジはのべ134回の記録がある。年ごとに、シマアオジの確認回数を探鳥会の回数で割った、探鳥会1回あたりのシマアオジ確認回数を求めると、1992年までは0.07回程度であるが、その後徐々に減少して2002年には0.006回まで減少した。これらのことから、北海道のシマアオジは生息が確認できなる時期は地域によって異なるが、1992年ごろから確認できなくなる地域があり、探鳥会全体で確認が減りはじめるのも1992年ごろであることが明らかになった。