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ESJ56 シンポジウム S11-2

生態リスクマネジメントにおける留意点−生態系の非平衡性の観点から−

森 章(横浜国大・環境情報)


近年、人為影響により、生態系のレジームシフトが起こっていることが指摘されている。これは、人間活動が生態系の持つレジリエンスを侵食し、生態系が本来持つ自己修復機能を低下、あるいは崩壊させていることによる。その結果として、生態系サービスが劣化、あるいは変化し、人間社会への悪影響も危惧されている。生態系のレジリエンス低下の要因は、環境汚染、搾取・伐採、気候の変化、撹乱体制の変化など、非常に多岐にわたる。いずれも生態系の脆弱化を招き、生態系が以前は吸収できた負荷が今は吸収できない状態になっていること、その結果、望ましくない状態へ生態系がレジームシフトを起こしていることが指摘されている。

本発表では、このような生態系のレジームシフトを引き起こすリスク、その結果、生態系サービスを劣化させるリスクに着目し、生態系を保全するために、あるいは、望ましくない状態にシフトしてしまった生態系を回復させるために、留意するべき点について述べる。特に、順応的管理において重視される、生態系の変動性や不確実性をどのように扱うのかを重要と考える。そこで、生態系に内在する非平衡性の観点から、生態系管理について考察する。生態系の構成・構造・機能は大きく変動することが、近年良く知られるようになった。本発表では、この変動性に対して、どのような基準を設け、実際に管理が行われているのかを、北米西部のDry Ponderosa pine forestsの事例と論争を挙げて概説する。そして、そこから推察される非平衡性に関わる生態リスクについて、幾つかの論点にまとめ、生態リスクマネジメントに係る示唆を提示する。


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