ESJ56 企画集会 T16
3月19日17:30-19:30 E会場
企画者: 立木 佑弥(九大・シス生)
樹木の繁殖の頻度は多彩である。毎年コンスタントに繁殖する種から隔年で繁殖する種、3年から5年間隔といった長い間隔をあけて繁殖する種、さらには熱帯などでは1年の間に何度か繁殖を行う種まで存在する。一斉開花(豊凶・マスティング)とは樹木が数年に一度、一斉に繁殖する現象を指し、空間的に数100kmにもわたって同調する。これは日本のブナ林やミズナラ林をはじめ、世界中の森林で観察されている。この現象は樹木という生産者が引き起こすため、栄養段階の上位に位置する種子捕食者や散布者、送粉者など森林に棲む多くの動物に対して強い影響を与える。また東南アジア熱帯林では、異なる樹種の間でも同調して開花するgenelal floweringが観察されている。一斉開花現象の生理機構や時空間動態、進化学的意義などについてはこれまで森林生態学の中心的課題の一つとして精力的に研究がすすめられてきており、多くの事実が明らかになってはきているものの、未解明な点も多々残っている。
本企画集会では、一斉開花現象についてフィールドと理論の両面から近年の発展を総括し、一斉開花現象の理解をさらに深めたい。
講演者のみならず、来場者にも積極的に発言をしていただき、今後の発展につながることを期待したい。
[T16-1] ミズナラ豊凶を引き起こす気象トリガーの検証 今 博計(北海道林試)
[T16-2] 熱帯の植物フェノロジー:多様な開花頻度はどのように説明できるのか 酒井 章子(地球研)
[T16-3] 理論的観点から見た一斉開花結実の進化 *立木 佑弥(九大・シス生), 巌佐 庸(九大・理)