ESJ56 企画集会 T23-3
入江貴博(琉球大・熱生研)
動植物を対象とした野外調査では、地面に設置した各々の方形枠(quadrat)から得られたひとつの観測値を実験単位(experimental unit)として統計的検定を実施することが多い。この発表では、反復(replicate)のつもりでひとつの個体群内に複数の方形枠を設置することで得られたデータに対して、観測された変数の平均値が個体群間で等しいという帰無仮説を検定するようなデザインの野外調査について考える。実際には個体群内の各方形枠間には正の空間的自己相関が存在するにも関わらず、それらが互いに独立であるという仮定の下で検定を行った場合には、帰無仮説を誤って棄却する確率が上がってしまう。このような種類の偽反復を防ぐために、本発表ではデータ間の自己相関を多次元分布によってモデル化することで有効サンプル数(effective sample size)を推定し、自由度を調整したF検定を行う方法について紹介する。