ESJ56 企画集会 T26-1
藤井 恒(日本チョウ類保全協会)
東北地方は本州の他の地域と比べると、比較的自然が保たれている地域だと考えられる。しかしながら、チョウ類の場合、東北地方でも絶滅したり、衰亡が著しい種(特に草原性のチョウ)が少なくない。例えば、オオルリシジミやオオウラギンヒョウモン、それにヤマキチョウは東北地方全域から絶滅した可能性が高いし、チャマダラセセリやホシチャバネセセリ、ゴマシジミなども姿を消した地域が少なくない。最近になって、保全活動も始まりつつあるが、まだまだ不十分である。
一方で、山形県内のギフチョウ・ヒメギフチョウの混棲地や、岩手県・山形県のチョウセンアカシジミの生息地では、保護・保全活動が古くから行われており、一定の成果をあげている一方で、問題点も指摘されている。
衰亡しつつあるチョウ類とその生息環境を効果的に保全していくためには、地域住民と行政、それに研究者が協力していく必要があり、効果的な法整備も必要であると考えられる。