ESJ56 企画集会 T26-7
鎌田邦彦(日本チョウ類保全協会)
最近の自然環境の保全や生物多様性の保護についての関心の高まりから昆虫を含む野生動植物種の保全に関係する法令・条例の整備が進んでいる。これらは、(イ)特定の野生動植物種そのものを保護対象とするもの、(ロ)一定の地域の自然環境を保護対象とするもの、(ハ)外来種対策を目的とするもの、に大別できる。
しかし、(イ)は捕獲等の規制を中心としており、生息地の保護の制度を備えるものもあるものの、土地所有権の尊重から開発に対する十分な方策として機能していない。(ロ)は一定の地域について開発を含む行為規制を行うものであるが、やはり同様に開発に対しては十分に機能していない。(イ)(ロ)(ハ)いずれも里地里山などの環境変化や地球温暖化の影響について直接的な対策を備えるものではない。(イ)には保護繁殖事業もあるが民間の保全活動を直接支援する法制度はない、といった課題がある。