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ESJ57 一般講演(口頭発表) H2-09

砂礫質河原のバッタ群集へのシナダレスズメガヤの影響:ハビタットスペシャリスト植食者は外来植物の侵入に敏感か?

*吉岡明良(東大・農),角谷拓(国環研),須田真一(東大・農),鷲谷いづみ(東大・農)


外来植物の侵入は在来植食性昆虫に、餌となる在来植物の競争排除やハビタット構造改変を通じて負の影響を与えることがある。特定の植物種を餌とする植食性昆虫(フードスペシャリスト)は外来植物侵入の影響を受けやすいことが知られている。しかし、外来植物によるハビタット構造の改変を介したハビタットスペシャリストへの影響については、知見が乏しい。

本研究では、栃木県鬼怒川中流域の外来牧草シナダレスズメガヤ(以下シナダレ)の侵入が近年急速に進行しつつある砂礫質河原において、代表的な多食性植食者であるバッタ類12種を対象として、バッタ各種のハビタット特異性およびシナダレ侵入の影響を比較した。現地調査では鬼怒川河川敷の2つのハビタットタイプ(砂礫地と草地)においてシナダレの被度と出現したバッタ各種の個体数を記録した。12種のうち5種が砂礫地か草地のいずれかに有意に多く出現するスペシャリストであり、そのすべてがシナダレの被度と有意な負の関係を示した。一方、両ハビタットタイプに偏りなく出現したジェネラリスト7種のうちシナダレの被度と有意な負の関係を示したのは2種のみであった。これらの結果は、ハビタットスペシャリストはジェネラリストより外来植物侵入の影響を受けやすいという仮説を支持する。砂礫地のような裸地的環境は一般に外来植物に侵入されやすい。そのような環境に適応しているカワラバッタのようなハビタットスペシャリストは、特に外来植物侵入の影響を受けやすいことが示唆された。


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