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ESJ57 一般講演(口頭発表) K1-01

シイ林における種子島と屋久島および大隅半島南端の関係

小林悟志(新領域融合研究セ)


シイノキ(Castanopsis)は、スダジイ(C. sieboldii)、ツブラジイ(C.cuspidata)、両種の雑種が国内には存在し、本土では、海岸部にスダジイ、内陸部にツブラジイが主に分布していることが知られている。

例えば九州南端の大隅半島では、海岸部(海岸線から3km以内)にスダジイが分布しているが、内陸部にはツブラジイ分布し、両種が重なるエリアにおいて、雑種個体が存在している。一般的にツブラジイは内陸部に分布することが知られているが、九州でも標高の高い霧島などの内陸部ではスダジイが分布している。すなわち、日本のスダジイの分布は、海岸部と内陸部の標高の高い(標高400m以上)所に分布し、ツブラジイは内陸部でも標高の低い所(400m以下)で分布している(小林2008)。

一方、日本の島嶼におけるシイノキの分布は、奄美大島以南、北は佐渡島までは、スダジイのみの分布で、ツブラジイについては、北限は静岡県とされており、南限は「Flora of Japan Volume 2a」によると屋久島までとされている。

最終氷期以前においては、九州の大隅半島南端と種子島および屋久島は連なっていたと考えられている。

本研究調査で屋久島のシイ類の分布調査をしたところ、スダジイと雑種の存在は認められたが、ツブラジイの存在は確認できなかった。さらに、種子島のシイ類の調査を行ったところ、海岸部にスダジイ、内陸部にツブラジイ、そして、両種の分布が重なるエリアにおいて、雑種個体が確認できた。この分布パターンは、大隅半島と類似している。

このことから、現在の屋久島の雑種個体の存在は、最終氷期以前に屋久島から大隅半島が連なっていた時代に、種子島に分布するツブラジイは現在よりも分布拡大が広がっており、標高の高い屋久島に分布するスダジイと交雑していた可能性が考えられる。


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