ESJ57 一般講演(ポスター発表) P2-248
*京極大助,西田隆義(京大・農・昆虫生態 )
近縁種間の競争を扱った研究は膨大に存在するが,それらは主に資源競争を前提としたものであった.しかし近年,種間競争を考える上での異種間の性的な干渉(繁殖干渉)の重要性が注目されている.アズキゾウムシとヨツモンマメゾウムシの系においても,競争結果が主に繁殖干渉によって決まることをKishi et al.(2009)が示した.しかし,成虫間にはたらく未知の資源競争が影響を与えている可能性はいまだに残されている.
我々は先行研究データ(Yoshida 1966)の再解析により,アズキゾウムシ,ヨツモンマメゾウムシ単独ではそれぞれの種で1♀あたり次世代虫数−密度曲線は単調減少であるものの,別種が存在することによりこの曲線が極大値をもつように変化する,すなわち密度増加により1♀あたり次世代虫数が増加することを示した.この現象は資源競争では説明できず,また繁殖干渉によって合理的に説明可能であり,個体群動態を決定するうえでの繁殖干渉の重要性を強く示唆するものである.