ESJ58 一般講演(口頭発表) A1-06
大場真*.村上正吾,水落元之,王勤学,木幡邦男
自然と共生した持続可能な社会の実現のため,生態系の過剰利用や管理不足を避けるための自然の利用や保全について評価が必要とされている。生態系からの財やサ-ビス(生態系サ-ビス)について,ミレニアム・エコシステム・アセスメント以降に多くの研究がなされてきた。しかし,生産された生態系サ-ビスに対して社会で消費されているか,という評価はあまりなされていないと言える。本研究ではその試みとして,流域圏スケ-ルにおける森林生態系サ-ビスの生産と消費を定量的に分析した。
過去(1960年),現在(2005年),将来(2030年)において,長野・岐阜・愛知・三重県にまたがる伊勢湾流域圏における森林生態系サ-ビスの生産をシミュレ-ションした。生態系サ-ビスとして水源涵養(流出量),炭素蓄積を選択した。対応する生態系サ-ビスの消費としては水消費,炭素排出を選択肢,統計資料から空間的に定量化した。
その結果,水源涵養と炭素蓄積については,流域内で非常に大きく森林生態系に依存していることが明らかにされ,かつ管理された森林ほどこれらのサ-ビス生産が大きいことが推定された。