ESJ58 一般講演(口頭発表) A2-11
*町村尚(大阪大・工),松井孝典(大阪大・工),R.N.SHAW(大阪大・工),加藤悟(大阪大・工),早田至(大阪大・工)
「生物多様性への民間参画決議」(2006)、「生態系と生物多様性の経済学 (TEEB)」(2008, 2010)などで報告されたように、人間活動とりわけ産業活動は、生態系サ-ビスの持続的利用と生物多様性保全に対して大きなインパクトと責任を持っている。ここで生物多様性対応行動の促進と具体的な計画策定のためには、人間活動の生態系サ-ビスへの依存を「見える化」する必要がある。我々は人間活動の生態系サ-ビス依存度の指標として、そのサ-ビスを提供する生態系面積で表した「生態系サ-ビス利用 (Ecosystem Service Use; ESU)」を提案している。ESUの要点は、人間活動強度から生態系面積への換算方法の合理性と、人間活動のバウンダリ-(活動主体、活動の時空間、間接影響)の設定および算定にある。日本の産業活動の森林生態系の供給サ-ビス(木質資源、水)、調整サ-ビス(CO2吸収、NOX/SOX緩衝)への依存度を、ESUで評価した事例を紹介する。産業セクタ-別直接ESUとセクタ-間経済取引を通じた間接ESUを計算し、また海外の生態系への依存度(輸入ESU)も評価した。ESUフレ-ムワ-クの改善・普及とともに、持続可能社会への生態学の積極的な関与のため、活発な議論を期待する。