ESJ58 一般講演(口頭発表) C1-03
三浦佳林*(横浜国大・院・環境情報),大野啓一(横浜国大・院・環境情報研究院),渡邉浩一郎(帝京科学大)
湖沼の富栄養化の問題は広く認識されているが、栄養塩類濃度の増大は閉鎖水域に限ったことではなく開放水域としての河川においても年々増大してきている。生活環境に密着している都市河川の汚濁問題は以前からも問題視されているが近年では農村河川の汚染も認められており河川の汚染問題は全国規模になっている。また、三面張り等の護岸整備事業が及ぼす植生と水質の変動も懸念されている。国内外にはヨシ・ガマ類などの抽水植物やヒルムシロ類などの水生植物を活用した水質浄化法がある。また、一級河川等の大きな河川では流路を蛇行させ河川敷に野生生物の成育空間としての湿地や池沼を再生し、自然河川特有の自浄作用を回復させる自然再生事業も各地で行われている。しかしながら三面張り等の護岸整備が行われている小河川では、水生植物や河辺植物による栄養塩類の除去及び水質浄化は期待できない。そこで小河川においても、河辺植物による水質浄化機能など河川の自浄作用を回復させる生態工学的技法の実験・開発が必要となる。本研究では、河川の自浄作用を回復させる生態工学的技法の実験・開発のための基礎資料の取得と、小河川における河辺植物群落の水質浄化効果など機能的関係性の解明を目的として、神奈川県の境川の上流部、中流部、下流部において水質調査、底質調査、植生調査及び植生景観調査を実施し、水質及び底質の分析結果と河辺植生の種組成構造及び植生景観構造を比較し、その対応関係を分析・評価した。また、一級河川の相模川では、河川敷に形成された池沼の水質浄化効果など河川生態系における生態学的役割を明らかにするため、境川と同様に当該池沼の水質調査、底質調査、植生調査及び植生景観調査を実施し、水質及び底質の分析結果と河辺植生の種組成構造及び植生景観構造を比較し、その対応関係を分析・評価した。