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ESJ58 一般講演(口頭発表) C2-01

龍谷の森の植生変遷と環境要因

*清水裕輔(龍谷大・理), 倉地奈保子(平岡森林研究所), 宮浦富保(龍谷大・理)


龍谷大学が所有する「龍谷の森」は面積が約38haであり、コナラ群落とアカマツ群落、ヒノキ人工林が混在する森である。マツ枯れの影響によりアカマツは激減し、2009年にはナラ枯れも侵入した。この森の植生が現在どのように変化しつつあるのかを調査し、今後どのように変化していくのかを予測することで、放棄された里山の管理指針の作成に資する基礎的情報を得ることが研究の目的である。

本研究では龍谷の森全域を機械的に調査するため、緯度、経度それぞれ2秒(南北約61m、東西約50m)間隔で半径5mの円形プロット(全127個)を設定し、植生(2009年、2010年)、林内気温(2009年4月以降)、林内相対照度(2009年4月-2010年3月)について調査した。植生については、プロット内の毎木調査(DBH>1cm)を全測定点について行った。林内気温は抽出した31点に温度ロガ-を設置し、1時間に1回の間隔で記録した。林内相対照度は、抽出した17点で毎月1回測定を行った。また、3月と7月に全測定点でアントラセン法による相対照度の測定を行った。これらのデ-タに加え、地図上から読み取れる地形等の環境値を併せて龍谷の森の環境を評価した。

2003年に行われた航空写真による植生図と今回行った2009年の毎木調査結果を比べると、龍谷の森のおよそ半分を占めていたアカマツ林が1割程度に減少し、主にコナラ林に変化していることが分かった。一方でヒノキ林はほとんど分布を変えていなかった。また、地形を平地、谷、尾根、斜面の4つに、斜面を8方位に分類し植生との関連を見た結果、コナラは平地、谷、尾根に多く分布しているが、斜面には南側以外は少なかった。東、北東、北、北西、西側の斜面にはヒノキが多く分布していた。


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