ESJ58 一般講演(口頭発表) E1-10
*岡田泰和(岡大,環),辻和希(琉大・農),三浦徹(北大・環),佐々木謙(金工大,バイオ),岡田賢祐(岡大,環),宮竹貴久(岡大,環)
多くの動物は資源や配偶相手をめぐって種内での闘争を行う.闘争の勝者が次の闘争に積極的になる勝ち癖(Winner Effect)や,敗者が消極的になる負け癖(Loser Effect)は,マウスや魚類から,軟体動物,昆虫に至るまで広い分類群で見られる行動の可塑性であり,戦術や生活史を多様化させる重要な原動力である(Camazine 2001, Rutte et al. 2006).動物界に広く存在する勝ち癖・負け癖の背景には,勝敗の経験を何らかの形で脳内に保持するような共通の生理メカニズム(=闘争記憶のメカニズム)が存在すると類推される.本発表では闘争を介して劇的に行動を変化させるトゲオオハリアリとオオツノコクヌストモドキを例に,1)闘争前後でどのような行動変化がおこるのか,2)行動変化の生理的基盤,とくにアミン系の作用,について報告し,種間での共通性・相違性や生態学的意義について議論する.