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ESJ58 一般講演(口頭発表) I2-05

植食性昆虫の植物上3D空間分布と化学元素組成

*津田みどり,山川武夫,中牟田なおみ(九大院・農)


植物の生理状態や誘導防衛反応を示しうる化学元素組成は、植食性昆虫の適応度にさまざまに影響することが断片的に報告されている。また、結実の周期性が強く、それが植食性昆虫の個体数変動に大きく寄与することが示唆されている植物種もあるが、時空間分布のメカニズムに踏み込んだ研究例はまだ多くない。

そこで本研究では、結実量が隔年変動するウンシュウミカン上で固着生活をする、ヤノネカイガラムシ雌成虫の3次元空間分布と、葉の化学元素組成の関係を調査した。24本の樹冠の上層および下層からランダムサンプリングした計446枚の当年葉について、生体の構成・機能にとって重要な主要元素の窒素Nの他、必須元素であるリンP、カリK、カルシウムCa、マグネシウムMg、および含水率を定量した。雌成虫の有無は、このうちP量(乾燥重量あたり)(またはN/P比)およびCa量に強く相関していた。樹冠下層は上層より雌成虫の葉あたり平均密度が高く、また南北方向のクラインもあった。この空間分布パタ-ンを説明するのは未加害葉のN/P比だった。また局所的には、この平均密度は、未加害葉の平均のP量(またはN/P比)、Ca量、および含水率と相関した。この結果を他の植物とその植食性昆虫についての先行研究と比較し、その生理的相互作用メカニズムを考察する。


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