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ESJ58 一般講演(口頭発表) J1-03

分断化された熱帯多雨林における非先駆性樹種の更新

*杉山杏奈,Chris J. Peterson (University of Georgia)


熱帯林の面積縮小と同様に、近年、世界の熱帯域で問題となっているのが森林分断化である。新熱帯域では、現在ではアマゾン地域や限られた保護地区を残し、元々は連続帯として存在していた森林(continuous forest)のほとんどが、牧草地をはじめ、異なる植生や土地利用に囲まれ、パッチ状の分断森林(fragmented forest)として存在し、新熱帯域の典型的景観となっている。森林分断化に伴い、様々な影響が報告されているが、その代表例として、種子散布者の種多様性低下及び個体数減少とエッジ効果が挙げられ、これらの影響は、いずれも一般に森林面積が小さい程深刻である。また、森林分断化に伴うエッジ効果の影響で、森林の種構成が先駆性樹種及びつる性植物に移行することが報告されている。この為、動物散布の非先駆性樹種は、森林分断化において最も更新が懸念される対象である。そこで、森林分断化が深刻なコスタリカ南部コト・ブル-ス郡において、5種の動物散布の非先駆性樹種を対象に、この地域で最も大きい原生林の分断森林(209 ha)と、それよりも面積の小さい4つの分断森林(4-33 ha)の2グル-プを比較し、森林分断化がその更新に与える影響をエッジ効果、個体密度、サイズ分布、種子散布などの視点から調べた。

非先駆性樹種を対象種とした為、いずれの種でも大きいサイズクラスに比べ、小さいサイズクラスで高い個体数が記録された。しかし、エッジ効果、個体密度、サイズ分布、種子散布などの指標においては、種間を越えて一貫した結果は得られなかった。このように、同じ動物散布の非先駆性樹種でも、種によって森林分断化の影響は異なる。分断森林において、種の維持や更新メカニズム解明には、分断化の影響を受けやすい局面や更新に必要な環境条件など、個々の種の理解が重要である。


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