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ESJ58 一般講演(口頭発表) J1-08

コバノガマズミに訪花する昆虫のサイズ・行動と結果率の関係

*吉本敦子(石川県白山自然保護センタ-,金沢大学・院),木下栄一郎(金沢大学環日本海域環境研究センタ-)


コバノガマズミとミヤマガマズミは同属の近縁種である。ミヤマガマズミは自家不和合性、コバノガマズミは自家和合性で、開花はそれぞれ4月中旬-下旬、4月下旬-5月上旬である。2種が同所的に生育する場所では、開花時期が一部重なり花序の形態が似ているため、同じ訪花昆虫を花粉媒介者としている可能性がある。その場合、2種間の開花時期のずれは、訪花昆虫との関係も考慮に入れて考察する必要がある。しかし、今のところ両種の訪花昆虫や訪花頻度等は不明な点が多い。

本研究では、2種のうち自家和合性をもつコバノガマズミの受粉に有効な訪花昆虫を特定することを目的としている。訪花昆虫の体長と体についた花粉数および結実、昆虫の移動距離および行動、花の形態との関係を報告する。

コバノガマズミの訪花昆虫は、2007年から2009年の3年間共に7割以上が甲虫であった。そのうちヒラタハナムグリ、キバネホソコメツキ、ヒメハナカミキリsp等を袋がけした花序中に入れた場合、結果率は処理を施さない花序および強制自家授粉した花序の結果率と同程度であった。一方、ジョウカイモドキ、クロフナガタハナノミ等ではほとんど結実しなかった。体についた花粉数の比較では、前者は後者より体に多くの花粉を付けていた。これは体長と相関があった。また、体長と1回の訪花による花序上の移動距離にも相関があった。どの訪花昆虫も蜜を吸いながら花序上を動いているが、種によってその動き方が異なっていた。コバノガマズミの花の形態から、花糸長より体長の長い種が授粉に有効な動きをすると考えられる。自家和合性をもつコバノガマズミでは、ある程度の体長をもった訪花昆虫が花序上を歩き回ることが授粉に効率的に働くと推測される。


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