ESJ58 一般講演(口頭発表) J2-08
菊沢喜八郎 ・小山耕平(石川県大)
葉の生涯パフォ-マンスは、葉が展開してから脱落するまでの間の物質収支と定義する。たとえば生涯光合成量、生涯呼吸量、生涯蒸散量などが炭素や水の収支の例としてあげられよう。また負の量の例としては、葉が生涯に食われた量などがあげられる。たとえば食害によって葉に空いた穴は、葉の生涯被食量を示している(Suzuki et al, unpublished).このような量を求めることの意義の一つは、群落の年間葉生産量との積によって、群落あたりの量に換算できることである(Kikuzawa & Lechowicz 2006)。年間の葉生産量は落葉量から推定できるから、生涯光合成量との積は群落の剰余生産量(Monsi 1960)を表すことになる。
オオバヤシャブシ(Kikuzawa 2003)、ブナ(Koyama & Kikuzawa 2010b)、ハンノキ(Koyama & Kikuzawa 2010a)について葉の純生涯光合成を求めた。それらはおおむね1~10 g g-1の範囲にあり、平均すると3~5gg-1の値となった。また、この量と葉寿命(Kikuzawa & Lechowicz 2006)、葉の脱落時光合成速度(Reich et al., 2009)などとの関係について議論する。