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ESJ58 一般講演(口頭発表) J2-10

多年生草本植物エゾエンゴサクにおける葉形態変異の集団間比較

*山岸洋貴(弘前大・白神),藤原久司(ズコ-シャ),本多和茂(弘前大・農生)


北海道および本州中北部に分布する多年生草本エゾエンゴサク(C. fumariifolia subsp. Azurea)およびオトメエンゴサク(Corydalis fukuharae)は、個体によって葉形態や花序あたりに形成する花数、果皮の模様などが非常に多様であることが知られている。しかし、特に葉形態の変異性に関して、その分布や各集団内における変異パタ-ンの詳細については未だ明らかになっていない。植物の葉形態は、主に生態学、遺伝学および生理学的背景をもとに進化し、形成されているものと考えられる。したがって、春植物を代表するこれらの種の葉形態に関する情報を整理し検討することは、春植物における形態の多様性進化について明らかにする上で重要だと考えられる。そこで本研究では、まず形態の変異性が大きいエゾエンゴサク十数集団を対象に、個体の葉形態や生育状況(繁殖個体の密度、調査地周辺の平均気温・積雪量)を明らかにし、集団間の比較を行った。葉の形態は定量的な比較を行うために各集団から十数個体以上ランダムに採取し、葉および小葉の枚数、1葉あたりの葉面積、小葉の葉縁の形状(切れ込みの有無など)、乾燥重量を計測した。また、個体サイズ(地上部全体の乾燥重量、草高、地際直径)および繁殖器官(花序数・および花数)も計測し、葉形態との関係を明らかにした。これまでの解析の結果、エゾエンゴサクの葉形態は非常に多様であり、集団内における葉形態の変異性の程度は地理的な傾向があることが明らかになった。特に北海道東部の数集団は他の地域に比べ、葉形態変異の程度が大きく集団内でも様々な形態の個体が生育していた。また、葉面積と1花序あたり花数は相関関係があり、葉面積が小さい集団では花数が少なかった。今後はさらに系統関係を含めて考察し、エゾエンゴサクの葉形態の変異性進化について明らかにする。


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