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ESJ58 一般講演(ポスタ-発表) P1-006

放牧と刈り取りの違いによる植物群落と土壌への影響

*李 強(横国大・環),持田 幸良(横国大・環),藤原 一絵(横市大・生命)


草原は重要な陸上生態系システムの一つであり(王2004,許ほか2008)、草原は自然資源利用の面でも重要な役割を担っており、牧業の基盤となっている。他方環境保全の面では土壌を安定させる重要な機能を有している。草原利用では、主として放牧と刈取りによる経済的利用が行われており、本研究では内モンゴル・シリンホト市に於いて、ヒツジの放牧地と非放牧刈取り地での草原植生と土壌への影響について検討した。

放牧地と刈取り地を同時に有する3地区において、植生調査と土壌調査を行い、植物社会学的方法(Braun-Blanquet,1964)により得られた60の植生調査資料と、植生調査と同一箇所で得られた18地点の土壌調査資料を解析した。

植生調査結果から放牧地と刈り取り地の共通種は5種でLeymus chinensis、Cleistogenes squarrosa、Salsola collinaとArtemisia frigidaなどである。一方放牧地を特徴付ける群落がCarex duriuscula-Stipa krylovii communityであり、刈り取り地はSerratula centauroides-Stipa grandis communityであった。さらにそれぞれは地域ごとのsubcommunityが認められた。

また土壌に関してはPH、EC、WC、土壌硬度、土壌温度、土壌湿度 、粒度組成、有機物含量、全窒素含量、リンなどを調査した。土壌温度はすべての場所に置いて刈り取り地より放牧地の方が高かく、土壌硬度も土壌深0-10cm、土壌WCは10-20cm、土壌PH は20-30cmにおいて全放牧地が刈取り地を上回っていた。これらのことからヒツジの放牧が植生及び土壌に大きく影響を及ぼしていることが把握された。


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