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ESJ58 一般講演(ポスタ-発表) P1-026

鳥取県大山ブナ老齢林における主要構成樹種3種の稚樹の個体群構造の比較

*鳥丸猛(弘前大・農生),佐野淳之(鳥大・農),永松大(鳥大・地域),戸丸信弘(名古屋大・生命農学),西村尚之(群馬大・社会情報),山本進一(名古屋大・生命農学)


森林群集内では、自然撹乱に対して種の応答が多様化することによって種の存続と共存が促進されることが知られている。特に、原生状態の冷温帯ブナ林において胸高直径(DBH)≧ 5cmの成木の個体群の死亡動態を調査した結果、強い集中分布を示すコミネカエデは台風撹乱による死亡率が高く、ランダムな空間分布を示すハウチワカエデは台風撹乱と死亡率の関連性は認められず、さらにブナ個体群は根返りを起こす強度の台風撹乱の場合のみ高い死亡率を示すことが報告されている。しかし、成木個体群と比較して自然撹乱以外の要因(個体間競争・病害虫など)による死亡率も高い生活史早期段階の個体群において、台風撹乱による影響を把握する試みは少ない。そこで、本研究は鳥取県大山の原生状態のブナ林に設置した固定調査区内において、空間構造と死亡動態の間に特徴的な関係性を示す上記の主要構成樹種3種を選び、稚樹(樹高(H)≧ 30cmかつDBH < 5cmの幹)の個体群構造を比較した。はじめに、台風撹乱の発生する前の2003年と発生後の2005年に林冠状態を記録し、林冠動態を把握した。その結果、ギャップの形成率が閉鎖率を大きく上回り、林冠の破壊による下層への撹乱が示唆された。さらに、2009年に稚樹の毎木調査を実施した結果、ギャップが形成されたサイトにおける稚樹個体群の密度は、ハウチワカエデ = ブナ > コミネカエデであった。一方、空間的な集中程度を解析した結果、いずれの樹種も強い集中分布を示したが、大サイズ(H ≧ 150cm)の稚樹個体群は小サイズ(H < 150cm)の個体群よりも集中の程度が弱かった。さらに、本報告では異なる林冠状態における稚樹個体群のサイズ構造を解析し、個体群構造の違いを明らかにする。


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