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ESJ58 一般講演(ポスタ-発表) P1-041

コンブの生育域(日本・韓国・中国)と多元素安定同位体比

*鈴木彌生子(日本認証サ-ビス,食総研),中下留美子(森林総研),河邉亮(日本認証サ-ビス),清水健志 (北海道工技セ),高村巧 (北海道工技セ)


海藻の安定同位体比は、沿岸生態系における物質循環の推定のための指標として利用されている。とくに、人為排水起源の窒素の安定同位体比が高いことから、海藻の窒素安定同位体比は、人間活動に伴う沿岸環境を把握する一つの指標として利用が活発となっている。しかし、生長速度の違いや、季節変動なども影響として考えられる。そこで、日本の食材としても価値の高いコンブについて、日本・中国・韓国産を収集し、生育環境の違いと炭素・窒素・酸素安定同位体比を比較した。

試料は、日本産(函館・羅臼:計10試料)、中国産(煙台:10試料、威海:10試料、福建:10試料)、韓国産(莞島:10試料)を収集した。多年生藻類は、生育年代によって藻体内で安定同位体比が変動することが報告されているため、コンブを30cm単位で切り、部位別に分析した。

コンブを部位別に比較した結果、酸素同位体比には大きな変動はみられなかったが、炭素・窒素同位体比については、大きく変動する傾向が得られた。とくに窒素同位体比は、最大で4‰の変動が見られた。藻類の季節変動として、降水量との比較が報告されており、降水由来の窒素の安定同位体比は低い値を示すことから、季節変化が関係している可能性が示唆される。

部位別での比較の結果から、炭素・窒素同位体比は、成長期によって値が変動することから、根元から30cmの部位について、日本・中国・韓国産コンブの安定同位体比を比較した。炭素・窒素安定同位体比は、中国の黄河河口の2地域(煙台・威海)で有意に高い値を示した。黄河河口の富栄養化による影響と考えられる。また、韓国と日本については、炭素・窒素・酸素同位体比で同じ範囲を示すことがわかった。


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