ESJ58 一般講演(ポスタ-発表) P1-151
*増田莉菜(早稲田大・人間科),友常満利,関根有哉,吉竹晋平(早稲田大・院・先進理工),小泉博(早稲田大・教育),太田俊二(早稲田大・人間科)
リタ-層は土壌の最上層であり他の土壌層と比較して降雨や温度の影響を受けやすいため、温度と水分状態の変動とともにリタ-の呼吸速度も大きく変化することが考えられる。そのためリタ-層の温度、水分状態をモニタリングすることは森林の土壌呼吸量の正確な推定やメカニズムの解明に必要である。本研究ではリタ-の水分状態のより正確かつ実用的な野外連続計測方法を検討した。
本研究は長野県浅間山麓の南側に位置する落葉広葉樹林及び常緑針葉樹林で行った。リタ-含水率の野外連続測定方法として、FH層に土壌水分計を挿入しその出力値とリタ-重量含水率との相関を利用する手法a、土壌水分計をリタ-層に直接挿入し、その出力値とリタ-重量含水率との相関を利用する手法b、及び、一枚一枚の葉リタ-に電流を流し、その電圧の値を測定するセンサ-を取り付け、そのセンサ-の出力値とリタ-重量含水率との相関を利用する手法cの3手法を試みた。野外連続測定ではリタ-が乾燥していく過程、湿っていく過程の両方で測定でき、かつ両過程でキャリブレ-ションラインが共通であることが望まれる。そのため加水実験と乾燥実験を行い、それぞれの手法で用いた土壌水分計及びセンサ-の出力値とリタ-含水率に有意な相関があるか、そして両過程でキャリブレ-ションラインは共通であるかを確認した。
実験の結果、広葉樹林及び針葉樹林とも測定に適していたのは手法b、手法cであった。しかし手法bでは高価な土壌水分計を複数台設置しなければならないという問題がある。一方、手法cでは使用するセンサ-を安価に作成でき、多くのセンサ-を利用できるため3手法のなかでは手法cがリタ-含水率の野外連続測定に最も適していると考えられた。