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ESJ58 一般講演(ポスタ-発表) P1-154

地上分光観測と陸域生態系モデルによるポイントスケ-ルでの炭素収支解析

*村上和隆(筑波大・生命環境),佐々井崇博(名古屋大・環境),野田響(筑波大・生命環境),秋津朋子(筑波大・生命環境),奈佐原顕郎(筑波大・生命環境)


広域の炭素収支の把握する上で、衛星デ-タを使用することが有用である。衛星デ-タから推定される葉面積指数(LAI)や光合成有効放射吸収率(FPAR)は、葉や幹の形質によって決まる分光特性の季節変化を考慮せずに推定されている。しかし、分光特性の季節変化は衛星観測で得られる反射率を大きく変化させるため、その季節変化はLAI、FPARを推定する上で欠かすことができない。本研究では、季節毎に葉の分光特性を測定し、モデルを介して月毎にLAI、FPARの推定を行った。その結果を陸域生態系モデル(BEAMS)に入力して、炭素収支を推定した。

LAI、FPARの推定には、SAILモデルを用いた。SAILモデルは、鉛直1次元放射伝達モデルで、葉の反射・透過率、LAI、葉の傾斜角度分布を入力値として群落の反射・透過率を推定できる。この結果を用いて群落反射率からLAIとFPARの推定アルゴリズムを作成した。BEAMSは、気象デ-タと衛星デ-タから炭素フラックス等を推定できる。本研究では衛星デ-タの代わりに地上観測から推定したLAIとFPARを用いた。

落葉広葉樹林である岐阜大学高山試験地を対象地域とし、展葉直後、LAI最大期、落葉直前の3時期で葉の分光特性を測定した。測定した分光特性及びLAIと葉の角度分布からSAILモデルを用いて各時期の群落の反射率を推定、モデル検証を行った。群落反射率の推定値は、LAI最大期で実測と良い一致を示したが、他の時期では実測値とのズレが大きかった。LAI変化に対して感度の高かった近赤外と緑の反射率特性を用いて地上観測の群落反射率から月毎のLAIとFPARを推定し、BEAMSに入力して月別の炭素フラックスを算出した。フラックスの季節変動はよく再現され、絶対値も概ね良い傾向を示した。


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