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ESJ58 一般講演(ポスタ-発表) P1-186

木曽駒ケ岳の標高に応じた樹幹着生地衣類の種組成と被度

矢久保允也(信州大・理)


中部山岳域は日本の中でも標高傾度が広く、多様な環境を有する地域のため、温帯から高山帯まで様々な種が生育する多様な生物相となっている。地衣類も例外ではなく、この地域が日本における北方系または南方系地衣類との分布の境界となっており、日本産地衣類のうち5.6%が中部山岳域などの制限された区域にのみ分布している。このように中部山岳は地衣類にとっても重要な地域である。しかしこの地域における地衣類の分布に関する基礎的な研究は未だなされていない。そこで本研究は、中部山岳域に生育する地衣類の分布種組成が、標高に応じてどのように変化するのかを探ることを目的とした。

今回の調査は中央アルプスの中北部に位置し、信州大学農学部の附属演習林である西駒演習林にて行った。登山道沿いに標高1600m-2600m間で8つのサイトをとり、1つのサイトで、7本の樹木×2つの部位(胸高と基部)×4方位(東西南北)=56のプロットに対し一辺10cmのコドラ-トをあてて着生していた種を採集し記録した。調査したプロットの合計は448であった。

今回の調査の結果、樹幹に着生する地衣類は、着生する部位により種組成が大きく変わった。基部においてはハナゴケ属が頻繁に着生していた。このことは、ハナゴケ属が基部に生育している蘚苔類に着生することが関係していると考えられた。また、基部と比較して、胸高における種組成は標高に応じた変化をより反映していた。さらに、出現する標高が特異的な種が確認された。


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