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ESJ58 一般講演(ポスタ-発表) P1-230

河川の上位捕食者ナマズ(Silurus asotus)はいつエサを追尾するか

今村彰生(京都学園大バイオ環境)


上位捕食者であるナマズは夜行性でかつ強い魚食性を示す大型の肉食魚である。琵琶湖淀川水系に属する大堰川(保津川)のナマズ(ナマズ科ナマズ属)について、どのような条件下で餌動物を追尾し捕食するのか、夜間のルア-釣りによって調査した。保津川には中型魚として草食性が強いアユや雑食性のウグイなど多数の魚類が生息しているが、なかでも肉食性の強い雑食性とされるウグイ(コイ科ウグイ属)についても、日中のルア-釣りによって餌追尾の特性について調査した。

説明変数には開始時刻、当日の天気、当日の平均気温、当日の最大風速、前日の降水量、月齢、気圧を用い、滞在時間を補正項として組み込んで一般化線形モデル(GLM)による解析と赤池情報量規準(AIC)によるモデル選択をおこなった。その結果、ナマズでは当日の平均気温、当日の最大風速、前日の降水量、月齢、気圧の5変数が選択された。ウグイでは、開始時刻、当日の平均気温、当日の天気、月齢、気圧が選択された。

ナマズにおいては風が吹いて水面が荒れることが好釣果つまり餌追尾に繋がっていたのに対して、ウグイでは荒天では低釣果で好天において釣果が上がる傾向が示された。

本研究では、野生状態での魚類の餌追尾行動の特性を明らかにすることと、釣行と釣果に関する経験則を定量的に検証することを目的としたが、ナマズについては強風で荒れることなどが条件に挙げられておらず、注目に値する。気圧については、ナマズ、ウグイともに釣果は気圧の上昇と負の相関が示されたが、気圧の子細な計時変化については組み込めていない。また、水の濁度を説明変数に組み込めておらず、降水量、濁度、強風、という荒天要素の交互作用などの検討などが、今後の課題として挙げられる。


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