ESJ58 一般講演(ポスタ-発表) P1-268
*山田敏也,寺田千里,竹川聡美(北大・環境科学院),宇野裕之(道総研・環境科学研究センタ-),齊藤隆(北大・FSC)
渡島半島で2008-2009年に捕獲されたエゾシカから、これまで北海道では見られなかったmtDNAハプロタイプを持つ個体が発見された。そこで本研究では、新たに発見されたハプロタイプの由来を明らかにするために、新たなハプロタイプとこれまでニホンジカで報告されているハプロタイプの分子系統樹を、mtDNAのD-loopとcytochrome b領域を基に作成した。D-loop領域を基に作成された分子系統樹から、渡島半島で特異的に見られるハプロタイプは、九州・四国のニホンジカのハプロタイプと最も類似していた。この結果から、新たなハプロタイプは九州・四国からの外来個体に由来すると考えられる。外来個体は在来エゾシカとの交雑により、北海道の環境で適応的な遺伝的形質を持つエゾシカの進化に負の影響を及ぼす可能性がある。そこで、msDNAを用いた分析を行い、交雑の可能性を議論する。