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ESJ58 一般講演(ポスタ-発表) P1-272

コウノトリの採食生態 ―野外における採食効率と餌生物密度―

武田広子(東邦大・理)


コウノトリ(Ciconia boyciana)は、水田や湿地に生息する大型の水鳥で、主にドジョウなどの魚類、両生類、爬虫類、甲殻類、昆虫類を捕食する。本種はかつて日本列島に広く生息していたが、乱獲や生息場所の破壊などにより個体数が減少し、1971年に日本の野生個体群は絶滅した。最後の生息地となった兵庫県豊岡市では、1965年から本種の人工飼育が開始され、2005年9月に本種の野生復帰に向けた、最初の試験放鳥が始められた。2010年12月現在、43羽が野外で生息している。野生復帰の成功には、持続可能な地域個体群が形成されることが重要であり、そのためには、本種が野外で採食できる環境が必要である。そこで本種の採食に必要な要因を調べるため、本研究では、コウノトリの野外における採食効率と餌生物密度の関係について明らかにすることを目的とした。

野外調査は、本種の行動範囲にある、兵庫県豊岡市出石町袴狭・田多地地区において2010年6-7月に、1)本種の追跡調査(採食効率)、2)餌生物密度調査の2つを行った。追跡調査では、個体の水田(田面)での採食行動を、車の中からビデオカメラで撮影し、記録した。記録した映像はその後再生して、補食した回数、餌生物種とその大きさについて記録した。追跡調査を行った後、コウノトリが採食に利用した水田(田面)で餌生物密度調査を行った。密度調査は、田面にコドラ-ト(50cm×50cm)を4-7ヶ所設置し、コドラ-ト内の餌生物をたも網を用いて採集した。採集した餌生物は、体長と湿重量を計測し、記録した。これらの計測値を各田面で集計し、単位面積あたりの餌生物量を算出して、その後の解析に用いた。発表では、これらの結果から、本種の野外における採食効率と餌生物密度の関係について考察する。


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