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ESJ58 一般講演(ポスタ-発表) P1-301

野幌森林公園における樹洞の分布と利用

*菊地心, 赤坂卓美, 山浦悠一, 中村太士 (北大院・農)


樹洞二次利用種にとって、樹洞は繁殖場所やねぐらとして必要不可欠な資源である。特に人工林では、樹洞が不足しているといわれており、樹洞木の保全は重要な課題である。本研究では札幌近郊にある野幌森林公園の人工林と天然林に調査区を設定し、樹洞のタイプ(キツツキ樹洞・自然樹洞)に着目して調査を行った。全樹洞木、キツツキ樹洞木、および自然樹洞木それぞれについて、二次利用種による利用状況を調査した。また樹洞木の資源量に林相・齢級が与える影響、および人工林の資源量に間伐・齢級が与える影響を評価し、さらに樹洞木の形成率に影響する単木レベルの要因を検討した。

調査の結果、樹洞木資源量が増加するほど二次利用種の利用数が増加し、各タイプの樹洞木について資源量を保全する重要性が明らかになった。キツツキ樹洞木の資源量は、齢級の正の効果が認められたものの林相間で顕著な違いはなかった。これは、キツツキ樹洞木の形成率が高かった広葉樹枯死木は人工林・天然林ともに密度が低かったためと考えられるが、同時に人工林でも齢級が増加すれば天然林と同程度の樹洞資源量が確保される可能性が示唆された。自然樹洞木の資源量は天然林に比べて人工林で少なかったが、人工林では自然樹洞ができにくい針葉樹生木が多かったためと考えられた。また、間伐の履歴の有無は自然樹洞木でのみ負の影響を示し、間伐によって樹洞の形成率が高い広葉樹や枯死木が除去された可能性が示された。齢級は樹洞木の資源量へ一貫して正の影響を及ぼしており、高齢級の林分は樹洞木資源量が多く、樹洞木の保全上重要であると考えられた。本調査地では自然樹洞木の密度は、キツツキ樹洞木の約2.5倍、二次利用種による利用も2倍以上と多く、自然樹洞木も二次利用種の保全上重要な資源であることが示された。


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