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ESJ58 一般講演(ポスタ-発表) P1-308

小川原湖における沈水植物及びマリモ類の分布の特徴と環境要因

*馬場俊介(東大院・農),赤坂宗光,高村典子(国環研)


日本の多くの湖沼では1960-70年代に富栄養化が進行したために、沈水植物群落は壊滅的な影響を受け種の損失が著しい。そのため、沈水植物群落や種を保全・再生する上で、参考にすべき生育環境の理解が深まらない状況にある。そのような中で、青森県小川原湖は在来種である沈水植物が比較的多く生育し、沿岸域に群落が発達する数少ない湖沼の一つである。本研究では湖沼沿岸域の沈水植物群落の組成や分布を理解することを目的とし、沈水植物群落の種構成の特徴を明らかにし、総現存量、種数、及び主要な沈水植物種の現存量と環境要因の関係を検討した。調査は2009年8月に湖沿岸域全域に設けた52地点で行った。各地点では動力船と潜水により、方形区による沈水植物種の採取のほか、30項目の環境要因を測定するため、現場測定のほか、採水と採泥を行なった。

調査では17 種が確認され、方形区の植生はヒロハノエビモ・マリモ類からなるグル-プと、イトモ・イバラモを中心とするグル-プに分類された。前者は湖の北部、後者は南部に分布した。総現存量と関係する各環境要因の寄与率をみると、水深が負に高い寄与率で選ばれた。また、次いで強熱減量は負に、消散係数、礫重量%は正に関係し、この順で寄与率が高かった。種数では、水深、礫重量% は正に、強熱減量は負に関係し、この順で寄与率が高かった。各種の現存量では、殆どの種で水深は負に関係し、高い寄与率で選ばれた。次いで寄与率が高かった環境要因は、ヒロハノエビモとマリモ類では強熱減量で負に関係し、イトモとイバラモでは礫重量%で正に関係した。以上から、水深と、強熱減量もしくは礫重量%で示される底質特性が出現種数や総現存量だけでなく、植生タイプの決定と関連する要因になっていると考えられた。


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