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ESJ58 一般講演(ポスタ-発表) P1-313

都市近郊域におけるニホンザルによる被害意識

*中村大輔(岐阜大・連農), 吉田洋(山梨環境研), 松本康夫(岐阜大・応用生物)


従来のニホンザルによる被害に対する住民対応を対象とした研究では、農村部を対象としたものが多く、都市部やその周辺地域における調査研究事例は少ない。都市近郊地域では、農村部でみられるような過疎・高齢化による人口減少などの問題は少ないが、新旧住民が混在することにより資源の共同管理が困難になるといった問題がある。

山梨県富士北麓の都市近郊地域である富士吉田市と富士河口湖町は、ニホンザルによる農作物被害に加えて、生活圏における物損被害や住民が威嚇されるといった被害が多く報告されているにもかかわらず、住民による対策は地域の一体感に欠け、不十分なものである。被害は農地の管理や普段の生活に深刻な影響を及ぼしているため、住民からはサルとの共存に否定的な見方や行政に強い捕獲圧を望む声が少なからず存在する。しかし、同所的に被害の意識を共有しない住民も多く存在しており、共通した被害認識を得られないため、被害対策が不十分なものになってきたことが考えられる。

そこで本研究は、山梨県富士吉田市と南都留郡富士河口湖町に分布するニホンザル群の行動圏内5集落において、被害経験や対策への積極性を問うアンケ-ト調査を実施した。林縁部から300m以内の住宅各戸に2010年8月初旬に1,540戸に対して配布し、同年8月末に621戸から回答を得た(回収率40.3%)。対象地域に被害を及ぼすサルの群れはラジオテレメトリ-調査による生態調査が実施されているため、GISを用いて、群れの位置と回答者の被害や対策に関する意識を併せて検討することが可能であり、共分散構造分析により一つのモデル内でそれら被害意識に関する要因の因果関係を検討した。


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