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ESJ58 一般講演(ポスタ-発表) P1-335

耕起および水位管理が異なる水田間での雑草群落比較?石川県珠洲市の事例

*伊藤浩二(金沢大・地域連携推進セ), 中村浩二(金沢大・環日本海域研究セ)


里山景観の主要構成要素の一つである生産水田は、希少種を含む多様な植物種の生育場所として認められている。近年、大規模農家を中心に取り組みが広がる水稲の「不耕起V溝直播農法(以降、直播農法)」は、圃場整備が進んだ大規模水田を中心に、北陸の農村景観内でその割合を増やしつつある。直播農法では慣行農法と比較して耕起や除草体系、水管理の仕方が大きく異なることから、雑草群落組成にもその影響が現れていることが予想される。本研究では、近年直播農法の取り組みが広まりつつある石川県珠洲市の水田において雑草群落調査を実施し、周辺の慣行農法水田および有機農法水田と比較した際の群落組成上の特徴を検討した。調査プロットは、石川県珠洲市内の直播農法水田(不耕起)4箇所、慣行農法水田(移植栽培)8箇所、有機農法水田1箇所の計13箇所である。そのうち水田を内部と周縁部に分けて、それぞれで6-10箇所ずつ方形区を設置し、2010年8月下旬に方形区内の維管束植物およびシダ植物、一部藻類の種名と被度を記録した。

群落組成分析の結果、直播水田では、生産期間初期に除草剤が散布されることによりイネ以外の植物種の多くが枯死するが、入水後は中干しがなく比較的安定した水位が保たれることで、慣行水田とは異なる群落組成となることが判明した。一部直播水田では、ミズオオバコ(国RDB?類、周辺の伝統的な管理を行う水田,ビオト-プ水田等で復活事例が観察)の生育・繁殖が確認され,不耕起V溝直播水田における一部の希少植物の保全の可能性が示唆された。


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