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ESJ58 一般講演(ポスタ-発表) P1-341

エゾシカ高密度生息域における樹木・林床植生への影響の指標化

*丹羽真一,渡辺修(さっぽろ自然調査館),明石信廣(道総研林試),宇野裕之(道総研環境研),荻原 裕(北海道森林管理局)


北海道内では、1990年代後半からエゾシカの個体数が急増し、特に近年は日高地方や道北地方などで顕著となっている。高密度生息地域では自然植生の改変が急速に進んでおり、森林では樹皮剥ぎによる特定樹種の枯死や更新の阻害、特定の林床植物の減少といった影響が見られる。本発表では、北海道の国有林においてエゾシカ生息密度が特に高い3森林管理署60地点のデ-タを用いて、樹木・林床植生の資源量と食痕率を整理し、過去および現在のエゾシカ生息密度との対応関係を検討する。

調査は、冬季にエゾシカが利用可能な広葉樹を主とする天然林で、稚樹の更新が見られる林分で実施した。各地点に50m×4mの調査区を設置して毎木調査・稚樹調査・林床植生調査を行ない、樹皮・下枝・稚樹・ササ類・草本類の資源量を種別に算出し、エゾシカの食痕率を求めた。また狩猟統計を用いて、1993年以降のエゾシカの目撃数を二次メッシュ単位で整理し、現在の生息密度と過去からの累積生息密度を算出した。これらの相関から、エゾシカの利用頻度・累積の利用履歴が森林植生のどの部分に影響し、変化を与えるかを明らかにし、各食痕率の指標性について検討する。特に草本類への選好性や影響の現れ方、その地域性についても検討する。


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