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ESJ58 一般講演(ポスタ-発表) P1-347

施業方法・林齢・樹種・シカ密度が異なる人工林におけるツキノワグマの食物資源量の推定

*川村芙友美(帝京科学大),有本勲(東京農工大),山崎晃司(茨城自然博),小池伸介(東京農工大),森貴久(帝京科学大)


ツキノワグマにとって広葉樹林は食物供給源として重要であるとされ、これまでに現存量調査などがされてきた。しかし、春・夏季には広葉樹林だけでなく、人工林(スギ、ヒノキなどの針葉樹林)をクマが利用する事例が報告されている。人工林では液果や草本、アリなどを採食していることが報告されているが、その現存量はよく分かっていない。また人工林は、樹種、林齢、施業方法などが多様であるものの、クマの食物量と、これらの要因との関係を調べた研究は少ない。さらに、調査地の奥多摩湖北部地域はシカの個体数が増加し、個体数管理が行なわれている。シカは下層植生に影響を与えることから、シカの個体数が人工林内の液果・草本の資源量に影響を与えている可能性が考えられる。

そこで、これら人工林の要因(施業の有無・林齢・樹種・シカ密度)と、クマの食物量の関係を明らかにすべく、東京都奥多摩町およびその周辺の水道水源林(スギ、ヒノキ林)において、施業の有無、樹種、林齢、シカ密度が異なる林分を10タイプにわけ、クマの食物となる針葉樹や草本、果実資源としての低木、つる植物の植生調査からそれぞれの優占度を求めた。調査は2010年6月15日から11月24日まで行なった。水源林の小林班に20m×20mのコドラ-トを設置し、針葉樹は個体数、樹高、胸高直径を測定し、密度を算出した。低木、つる植物は胸高断面積合計から、草本は被度から優占度を求めた。また、魚眼レンズによる全天空画像から各林分の林冠植被率を算出した。

食物供給量の高い人工林の条件を明らかにすることで、林業地域におけるクマとの共存に配慮した施業方法の提案につながると考えられる。


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