ESJ58 一般講演(ポスタ-発表) P1-350
*Taishin Kameoka(Hiroshima university,IDEC), Nobukazu Nakagoshi(Hiroshima university, IDEC),Victorino E. Aquitania(ICLEI), Mahallah Adalia(ICLEI)
近年、発展途上国の多くが経済発展を遂げている。経済発展は自然環境に大きな被害を与えることが多い。一方発展途上国では、通常、先進国と比べて環境教育の水準が低い。そのため現地の人々は、彼ら自身の豊かな自然地域の重要性を理解できずに、自然を犠牲にして経済発展を優先してしまう。環境教育はこのような問題を改善する『持続可能な経済発展を遂げるために必要な基礎』である。
演者は2010年8-9月の2カ月間フィリピンに滞在し、同国ナガ市が取り組んでいる環境教育を調査した。ナガ市は人口が約30年間で9万人から16万人に増加するほど経済発展が著しい都市である。これに伴い、都市域も拡大しているが、面積の60%以上が自然林や農地などの緑地環境が残っている。
ナガ市は、環境教育の達成度が十分でないために住民が自然環境の重要性を理解できていない。潜在的な強みとしては、今後の社会の担い手である19歳以下の若い世代が人口の55%以上を占めていることである。彼らは将来、社会の担い手となる。多くは親となる。彼らの将来を考えると、環境教育を用いて自然環境の重要性を認識することは、生物多様性に対する関心の底上げになる。若者への環境教育は、持続可能な発展を遂げるために大きな役割を果たすと考えられる。
しかし、現在の環境教育プログラムの問題点は、市議会議員の満期毎で支援を打ち切られる恐れがあることである。演者達は継続した環境教育を実施することが重要であると考える。このために環境教育の評価やデ-タを収集して、環境教育の結果を市議会議員に理解できるようにし、その継続を行うべきだと考える。