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ESJ58 一般講演(ポスタ-発表) P2-011

様々な植物上のサビキンに寄生するタマバエの系統関係について

*本田 薫, 三宅 崇(岐阜大 教育)


Mycodiplosis属タマバエ幼虫は、サビキンの菌糸や胞子を採餌して育つ。野外では様々な植物に感染したサビキン上でタマバエ幼虫が観察される。菌類の中で担子菌の1つの目を形成するサビキンは、世界で7000種以上の報告がある絶対寄生菌で、植物に対し寄主特異性を持つ。その一方で、タマバエがサビキン種に対しても同様に、寄主特異性を持つかどうかは明らかにされていない。そこで、分子系統学手法を用いて、サビキンとタマバエの種間関係を解明することを目的として研究を進めている。本研究では、岐阜県内の13種の植物の複数個体からサビキンとタマバエを採集し、ミトコンドリアのCOI領域の塩基配列をもとに、タマバエの分子系統樹を作成した。その結果、同一のホスト植物上のサビキンから採集したタマバエは、多くの場合クラスタ-を形成した。しかしながら、ヘクソカズラおよびエゴノキ上のサビキンから採集したタマバエは単一のクラスタ-を形成せず、他の植物上のサビキンから採集したタマバエのクラスタ-に含まれた。後者の結果は、何を意味しているのだろうか。いくつかの可能性が考えられる。1つ目は、種特異的なタマバエが、様々なホストに寄生できるように適応進化した可能性である。2つ目は、ホスト転換の過程あるいは異なるホストに寄生した可能性である。3つ目は、本研究のサンプリングが1ヶ所サンプリングであるため、特異性を過小評価している可能性である。


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