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ESJ58 一般講演(ポスタ-発表) P2-012

青山高原におけるニホンジカによる造林木剥皮害の発生傾向

*中村あずさ(岐阜大応生),安藤正規(岐阜大応生),福本浩士(三重県林業研),佐野明(三重県四日市農林商工環境事務所)


ニホンジカ(Cervus nippon、以下シカ)による造林木への剥皮害の発生傾向を把握するため、林分の立地環境や造林木の情報から剥皮害の発生を予測するモデルを構築した。

三重県青山高原に調査林分(400m)を12カ所設置し、立地環境(標高、傾斜、シカ糞塊数)および造林木(樹種、平均胸高直径)について現地調査を実施した。また、シカの餌環境が剥皮害の発生に影響を与えている可能性を考慮し、GISを用いて各調査林分周辺の植生(3区分;人工林、広葉樹林、草地)の分布を調べた。さらに、調査林分毎にシカの糞分析をおこなった。解析には、一般化線形混合モデル(GLMM)を用いた。目的変数を各林分における剥皮被害木の本数、説明変数の固定効果を上記の立地環境と造林木の各項目、ランダム効果を調査林分、オフセット項を各林分の全立木本数とした。さらに、このモデルにシカの餌環境(周辺の植生の割合、糞中のササ類の割合)を固定効果として加えたモデルを構築した。ステップワイズ変数選択を用いてAICによるモデル比較をおこない、モデルの最適化を図った。

解析の結果、標高と傾斜には剥皮被害木の本数と負の相関がみられ、樹種とDBHには相関がみられなかった。ステップワイズ変数選択をおこなった結果、説明変数を標高、傾斜、樹種、シカの餌環境としたモデルが最も当てはまりのよいモデルとなった。これらより、標高が低く、傾斜が緩く、ヒノキが植栽された林分で被害が多くなると予想された。また、周辺の草地の割合が高く、夏に糞中のササの割合が高い林分で被害が多くなると予想された。


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