ESJ58 一般講演(ポスタ-発表) P2-048
*飯田滋生(森林総研北海道),八木橋勉(森林総研東北),田内裕之(森林総研四国),久島宏道(森林総研木曽),N. Higuchi(INPA)
アマゾンの森林の大部分は雨期の増水期に浸水しないテラフィルメと呼ばれる立地に成立している。テラフィルメの地形は相対的な標高と傾斜によって、標高の高い平坦地であるplateauと”baixio”と呼ばれる谷地の低部、および両者の間の斜面であるslopeに大きく3区分される。地形の違いによって土壌・水分環境が異なっているが、さらに更新の契機となる林冠ギャップの動態が異なることが予想される。そこで本研究では、ブラジル中央アマゾンのマナウス近郊のテラフィルメに成立する自然林に設置した18haの試験地において、2002年と2010年に5m×5m枠毎に林冠ギャップ(H?10m)を測定し、3地形区分間で林冠ギャップ動態の比較を行った。
試験地全体および各地形区分において林冠ギャップの修復速度は形成速度を上回っており、全体のギャップ面積は2002年の6.0%から2010年には4.7%に減少した。このため、この試験地では過去8年間では強度の撹乱は生じていないと考えられた。ギャップ面積の割合を各地形区分間で比較すると、baixioは2002年および2010年ともにplateauおよびslopeより高い傾向があった。また、8年間でのギャップの形成速度および修復速度は、baixioはplateauおよびslopeよりも大きな値を示し、baixioにおける林冠の回転時間は、plateauおよびslopeよりも短いと考えられた。これらの地形区分間の林冠動態の違いは、各地形区分における樹種構成やバイオマスに影響を与えていることが示唆された。