ESJ58 一般講演(ポスタ-発表) P2-075
*小戸田紋郁(新潟大院・自然科学),村上拓彦(新潟大・農),紙谷智彦(新潟大院・自然科学)
落葉広葉樹の樹冠反射特性は、葉のフェノロジ-を通して変化する。特に、開葉や落葉のような明確な季節変化は、樹種の違いによるスペクトル分離を強めるとされている。そのために、質の良い紅葉期の画像を得ることが、樹種分類を行う上で重要とされているが、効果的な画像取得時期を決定するための研究はほとんど行われていない。
そこで本研究では、樹種判読に有効な画像取得時期を決定することを目的として、新潟県阿賀町の落葉広葉樹二次林の主要6樹種を対象として、開葉と落葉フェノロジ-を調査した。フェノロジ-の指標の一つである着葉状況は、樹冠下の定点から週1回樹冠撮影を行い、開空率を求めた。開葉期については、ブナ開葉時を狙って撮影した空中写真を用いてEADAS IMAGIN9.3(EADAS社,米国)により、主要樹種の特徴量から樹種判別を行った。一方、紅葉期には、週1回、4樹種から平均的に紅葉した枝を採取し、Photoshop(Adobe Inc.)により、葉の色づきを数値化して、樹種による違いを比較した。
その結果、開葉期については、ブナが一斉開葉型であることと、画像の判別精度から、ブナ開葉直後に撮影した空中写真が有効であった。一方、紅葉期の葉の色づき方は、すべての樹種間で有意な差が見られる時期があった。これらの結果をもとに、開葉期と紅葉期の画像を組み合わせた樹種判別の方法を提案する。