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ESJ58 一般講演(ポスタ-発表) P2-083

森林施業における保残帯の景観生態学的効果 -カギ型habitat内での生物の分布と移動-

*星野彰太(東北大・生命科学),松本和馬(森林総研・昆虫生態),中静透(東北大・生命科学)


生息地の分断は、生物多様性の消失の要因の一つと考えられている。分断化による生物多様性の劣化を防ぐ手法としてコリド-(生態的回廊)がある。コリド-によって、生息地間の遺伝子流動の増加、生物の移動の増加などがもたらされ、その結果生物多様性が維持・増大すると考えられている。1970-80年代以降の東北地方のブナ林施業では,尾根・河川沿いに幅数十mの保残帯を残して伐採を行うことが多く,近年その保残帯がコリド-として機能する可能性が指摘されている。本研究は、伐採後30?40年経過した保残帯がコリド-としての効果をもつのか、またコリド-効果を受けにくい種とはどのような種なのかを検証する。

青森県八甲田山前岳の保残帯周辺を調査地とし、原生林内、人工林内、コリド-内(原生林からの距離、30、100、300、1000m)の全35地点に500?のプロットを作り、その中の高木(毎木)、低木、実生(方形枠20個の出現頻度)を調べた。また、各プロットでホ-ルトラップによる採集(5カ所、3日間×2回)を行い、オサムシ科昆虫の組成について解析した。

その結果、保残帯の組成は隣接した人工林とは高木、低木、実生全てにおいて異なっており、また保残帯と原生林は高木の組成に関して類似度が高かった。また、コリド-では原生林から離れるほど、高木実生、オサムシ科昆虫ともに原生林内との類似度が下がっていくが、その程度は同じ距離にある原生林どうしより大きい。これは、コリド-の効果を受けにくい種があることを示していると考えられるが、このような種の生態特性について考察する。


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