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ESJ58 一般講演(ポスタ-発表) P2-133

乾燥程度の異なるモンゴル草原生態系において放牧が土壌窒素形態変化の空間的不均質性に与える影響

*近藤順治,廣部 宗(岡大院・環境),Enkbaatar Altangerel (モンゴル・地理生態研),Amartuvshin Narantsetseg (モンゴル・植物研),藤田 昇(地球研),前田守弘,坂本圭児,吉川 賢(岡大院・環境)


小さな空間規模(<10m)での土壌養分の空間分布は、被覆する植生の空間構造に強い影響を受ける。例えば、植生が密で一様な草原ではランダムに近いが、植生が不連続な潅木地帯では、植生被覆に伴う養分集中により空間的不均質性が増大する。また、草食大型哺乳類の行動(採食や排泄)も土壌養分の空間分布を変化させる。そこで本研究では、植生構造の違いと草食大型哺乳類の行動との相互作用が土壌養分、特に窒素利用可能性の空間的不均質性に与える影響に注目した。モンゴルでは、北から南へ乾燥が強くなり、草原は植生が比較的均一に分布する森林ステップから、パッチ状に分布するステップ、非常に疎になるゴビステップへと変化するとともに、草食大型哺乳類の放牧が行なわれている。3タイプの草原生態系において、被食防護柵の内外で多数の表層土壌を採取し、窒素形態変化速度の空間的不均質性をセミバリオグラムにより解析した。その結果、柵内では窒素形態変化速度は森林ステップおよびゴビステップでランダムであったが、ステップでパッチ構造(1.4m)が見られた。柵外では森林ステップの硝化速度にのみパッチ構造(1.5m)が見られたが、その他はどの調査地でもランダムであった。また、ステップおよびゴビステップでは柵内に比べ柵外で非類似度が全体的に小さくなった。これらから、モンゴルの草原生態系では乾燥程度の違いによる植生構造の変化に伴い土壌養分の空間分布も変化し、放牧があると、森林ステップでは土壌養分の空間構造が発達し、ステップではランダム化することがわかった。また、乾燥が強くなると放牧は窒素利用可能性を空間的に均質化させると考えられた。


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