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ESJ58 一般講演(ポスタ-発表) P2-147

ヒノキ人工林における林齢に伴う土壌呼吸速度の変化

*八代裕一郎, 王連君(岐阜大・流域セ), 小林元(信州大・農), 大塚俊之(岐阜大・流域セ)


地球温暖化に伴う森林のCO2収支の変化を予測するためには、気候変動が土壌呼吸量に与える影響を明らかにする必要がある。一方で、土壌呼吸量は森林の発達や遷移に伴い自律的にも変化する。したがって、気候変動と土壌呼吸量の関係を検出するためには、森林における土壌呼吸量の自律的な変化のパタ-ンを把握することが不可欠である。そこで本研究ではヒノキ人工林を対象に林齢に伴う土壌呼吸速度の変化を明らかにする。

調査地として1年生から87年生のヒノキ人工林12林分を選定し、2010年6月?11月に土壌呼吸速度を測定した。この度の発表では、ヒノキ林伐採から再植林初期にかけての土壌呼吸速度の変化を中心に報告を行う。

ヒノキ人工林の伐採・再植林後の土壌呼吸変化を明らかにするため、1、2、5、87年生ヒノキ人工林、計4林分において土壌呼吸速度の測定・比較を行った。調査期間を通して5年生林分における土壌呼吸速度が最大であり、次いで87年生となった。一方で、伐採直後である1年生林分の土壌呼吸速度は低い傾向を示した。いずれの林分でも5cm深の地温と土壌呼吸速度には指数関数的な関係が見られ、その関数式から得られた温度依存性(Q10)は87年生林分で3.4と大きく、1、2、5年性林分はそれぞれ2.0、2.5、2.2と小さい値をとった。また、地温15度における土壌呼吸速度の予測値も87年生で1.9、5年生で1.7、2年生で1.2、1年生で1.3 ?molCO2 m-2 s-1となり、87年生で大きな値をとった。以上より、ヒノキ人工林伐採および再植林初期においては、伐採により土壌呼吸速度が減少するが、その後植栽木と雑草木の発達と伴い土壌呼吸速度が増加すると考えられる。また、87年生のQ10が大きいことから、地球温暖化はヒノキ高齢林での土壌呼吸に対して大きな影響を与えると考えられる。


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